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日本のタバコ環境は遅れている?喫煙者に甘い国

よく日本は喫煙者に甘い国だというが、本当にそうだろうか。たしかに公共の場所を全面禁煙にしている諸外国は増えている。 カフェやバーでの禁煙ニュースは本当に残念だ。

日本は遅れている?
しかし、よくよく現地の情報を調べていると、分煙が徹底しているだけのようにも思える。喫煙者にも配慮があり、まったく吸えないわけではない。むしろ「屋内が禁煙なら」と、グラスを片手に外で一服する姿には寛容だと聞く。

実際に昔から喫煙者に厳しいと有名なシンガポールに行ったとき、 吸えないのかとビクビクしていたが、 行ってみれば意外と喫煙場所には困らなかった。

もっともシンガポールはゴミを捨ててもつばをはいても罰金、地下鉄でガムをかんでも罰金、トイレ使用後に流さなかったら罰金、といろいろ厳しい国なので、タバコだけに目くじら立てているわけではない。入国の手荷物でも、ガムは持ち込み禁止だがタバコは税金をとられるだけ。

海外旅行好きの愛煙メイトと話したとき、こういっていた。

「アメリカは厳しいけど、ヨーロッパはおおらか。禁煙化運動の波はあっても、目くじら立てている人は少数で、ちゃんと喫煙場所はある。法律をきちんと守るとか喫煙マナーのルール化は、日本のほうが神経質なのでは」

とすると先進国ではタバコは吸えない。

日本は遅れているという禁煙推進者は、諸外国の喫煙所に気が付いていないだけという可能性もある。脳は興味のあるものしか認識しないというから、無意識のうちに視界から灰皿を排除しているとか。


たとえばタバコを吸わない友人につきあってスターバックスで甘いものを飲んでいたとき、あれ?タバコ吸わないの?と聞かれたことが何度かある。

喫煙者なら大部分がスターバックス=全席禁煙=(ひとりでは)入らないという意識を持っているだろう。けれど、非喫煙者の中にはたいして気に留めていない人もいるのだと知って軽く驚いた。

逆にいえば、喫煙者が非喫煙者の立場を考えずにたばこを吸っていたことが、ここまで叩かれる素地を作ってしまったことは確かだろう。 それは重々受け止めるべきだと思う。

日本は「禁煙後進国」か?
よく「日本は禁煙後進国」というような言い方を耳にします。
世界の大勢は「禁煙」に向かっており、日本の状況はそれらの禁煙先進国と比べてずいぶん立ち遅れているとか、先進国の中で日本の喫煙率が際立って高いのは外国に対して恥ずかしいとかよく簡単に口にする人たちがいますが、それって本当なのでしょうか?

国際学会や旅行などで諸外国に行くと、耳にしていたのとは全く違う状況に直面します。
まず、どの国でも喫煙者は皆さんが思っている以上の高い割合で存在しています。男性の70%以上と言われる中国のような国は別として、喫煙率が低いと思われている北米やイギリス、あるいは北欧でも町を歩けば多くの喫煙者と遭遇します。国際学会などでも喫煙所は一種のサロンのような状態で、賑わっています。何しろあれほど厳しく規制されているアメリカでさえ、男女とも25%程度の喫煙者が存在しており、その数字は一度下げ止まった後にはあまり減っていないのです。

日本では男性約40%、女性約12%程度と言われていますから、少なくとも女性に関してはアメリカでは日本の約2倍の喫煙人口があるわけですし、この手の数字は全年齢層の平均ですから、勤労年齢層ではさらにその割合は高いはずです。これはどう考えても「マイノリティ」と言うにはあまりにも大きな数字です。ですから、どの国でも日本とそれほど違わないかなりの数の喫煙者、愛煙家が存在しているのであり、日本だけが喫煙大国であるなどというのはほとんどデマなのです。

これらの国々の一部ではすでに建物内での喫煙が厳しく規制されているせいもあり、屋外や路上での喫煙は比較的大目に見られています。路上や公園のベンチにはたいてい沢山の灰皿が設置されていますし、道端で喫煙している人たちの姿も多く見かけます。先日訪れたフィンランド(急進的な禁煙政策で有名)でも、ヘルシンキの街角ではくわえタバコで歩いている多くの喫煙者を目撃しました。

また建物内での禁煙が強いられているので、オープンカフェのような屋外のテーブルには例外なく灰皿が並べられていて、数多くの喫煙者がくつろいでいます。大学や病院などでも戸外には喫煙所が設置されています。嫌煙運動の発信地の一つであるカリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)でさえも、建物外には灰皿が沢山設置されていました。

アメリカは、州による違いはありますが、東海岸、西海岸の都市部では建物内の喫煙はほとんど禁じられています。それでは、どこでも喫煙できないのかというとそんなことはなく、屋外には灰皿が沢山置かれていて、少なくとも屋外でさえあればかなり自由に喫煙することができるのです。椅子やテーブルが置かれているところも少なくありません。ロサンゼルスやニューヨークのレストランやバーの入り口には必ず喫煙所があるし、空港でも屋外に一歩出ればどこにでも灰皿が置かれています。

それに比べて、昨今の日本の状況は異常であると思います。喫煙所がとんでもなく遠い場所に設置されている成田空港や羽田空港、喫煙者の数に比べてあまりにも面積の足りないJRの駅の喫煙所(しかも、それすらも廃止されてしまいました)、屋外にすら全く喫煙所が設置されていない巨大商業スペースなど、おそらくは日本は世界一のスピードで極端な喫煙規制が進められています

空港に関して言えば、私がトランジットで立ち寄ったシンガポールのチャンギ空港では、おそらく世界でも最高レベルの快適な喫煙所が空港内に何ケ所も設置されており、 エアダストで煙を吸着し、ソファでゆっくりとくつろぐことができました。成田空港の荷物部屋のような狭くて遠い喫煙所とは雲泥の違いです。

また、イタリアやフランスのように最近建物内の全面禁煙法が施行された国でも、オープンカフェや鉄道駅では全く規制はありませんし、路上や公園にも沢山灰皿が設置されています。EUの中だけ見ても、スペイン、オーストリア、東欧諸国などの多数の国々では建物内でもまだまだ喫煙は自由です。

確かに日本では建物内では「分煙」がまだ主流ですし、居酒屋や喫茶店、あるいはパチンコ屋やダームセンターでは喫煙が全く自由な場所も多いというのも事実です。しかし、そういった施設では現実的に見て喫煙者の客の方が多数派であるというのも、また事実だと思うのです。

個人的にも、全面禁煙のパチンコ屋やゲームセンター、居酒屋などはちょっと不気味なような気がします。まあ、それでもファミレスやファーストフード店では完全禁煙や、密閉した喫煙室を設置する店も増えてきていますから、だんだんと棲み分けが進んでいると思いますし、それは別に悪いことではないと思うのです。

食べ物を楽しむ寿司屋やレストランなどは、きちんと喫煙スペースさえ設置してくれれば全面禁煙でもかまいません。短時間しか滞在しないラーメン屋なども全面禁煙でいいと思います。民間の自主的な判断で分煙や完全禁煙が進められていれば、それで全然かまわないので、なにも無理矢理にFCTCの勧告などを押しつけられる必要は現状ではどこにもないと思うのです。

ただ一つ問題なのは、日本では、世界の中で唯一、「屋外での喫煙規制」をどんどん進めているということなのです。「歩きタバコ禁止」や「路上禁煙」の地区がどんどん増えています。もはや都市部の鉄道駅周辺やオフィス街では、ゆっくりと落ちつける喫煙場所はほとんどありません。タバコを長時間我慢して電車から降りても、そこから何キロも歩かないとタバコを吸えないという、喫煙者にとってはまるで拷問のような規制が行われています。

新宿区では区内全域が路上禁煙になっています。あの日本最大の歓楽街・歌舞伎町も含めて、人通りの少ない住宅街や公園も含めて、すべて禁煙なのです。あの広い区内に喫煙スポットはたった8カ所しかありません。新宿区のホームページには、何度も会議やヒアリングを行って住民の総意で決めたというようなことが書かれていますが、副都心新宿に集まる沢山の人たちはすべてが新宿区民ではありません。それなのに、新宿区に訪れた人たちは喫煙のできる店でしか、タバコを吸うことができない。広い公園や、人通りのない道端でも禁煙だし、路上に張り出した屋台や長屋の縁台でも喫煙はできないということになっています。2008年の夏の時点では、取り締まりを行う職員やボランティアの指導員が結構沢山配置されていて、人ごみを避けてタバコを吸っている人たちを見つけては注意をしまくっています。



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