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日本で禁煙が広まらないのはマスコミや政治家に喫煙者が多いから

タバコに対する意識という面でタクシー業界などと比べたとき、対照的に意識改革が進んでいないのは、マスコミと政治の世界です。

意識改革が進んでいないのは、マスコミと政治の世界
世界の国々と比べたときに、日本の嫌煙運動が今ひとつ盛り上がりに欠けるのは、その気運を高めるために力添えをしてほしいマスコミ関係者に喫煙者が多いため、それほど協力的ではないこともひとつの要因になっていると思います。

新聞社の場合などは、出先の記者クラブにしろ、社内の編集室などにしろ、記者やデスクの人など各部署でいかにも喫煙者が多い印象があります。禁煙を奨励するような話題を取り上げることに消極的なのもわかるような気がします。

アメリカのオバマ大統領は、2009年6月に食品医薬品局(FDA)に強力な権限を与える「たばこ規制法」に署名しています。この歴史的な決断にしても、地元とはいえアメリカの新聞では大きく報じられましたが、日本の新聞ではほとんど話題にもなりませんでした。

ミシェル夫人のファッションについては熱心に取り上げる日本のマスコミも、自分たちにとって不利になりそうなことについては、たとえそれが歴史的なことであっても無視するのです。ご都合主義もいいところです。

日本の新聞各紙は、発行部数が世界のトップクラスであることを自慢していますが、もし本当の意味での「クオリティ・ペーパー」でありたいのならば、「ワシントン・ポスト」や「ニューヨークタイムズ」などのように、「正しいこと」にしっかりと向き合ってペンを持つべきです。

今や世界の趨勢であるタバコの規制に耳を塞いでいるような新聞が、「クオリティ・ペーパー」などと評価されるはずもありません。もっとも、最近では、日本の新聞もタバコと健康の問題をいろいろな視点から取り上げるようになってきましたが、同じように、国会などの場で、実際にタバコ規制を議論すべき政治家の意識の低さも問題です。とくに年配で役職を持っている、いわゆる「実力者」と言われる人たちほど喫煙率が高い傾向にあるように感じます。

笹川会長に聞いた話では、政権を手放す前の自民党本部の各部会の部屋では、すべての机の上に灰皿が出ていたそうです。「灰皿を出していて禁煙運動をしようとか言っているのだから」と笹川会長も呆れていました。
神奈川県庁でも、建物内を全面禁煙するにあたって、県議会からは協調して取り組んでもらうことができませんでした。

ルールをつくるべき人たちがいちばん遅れている。こんなことを書くと、また突き上げられるかもしれませんが、ともかく、地方にしても国にしても、政治家のタバコと健康に対する意識が低すぎます。だから、わが国のタバコ対策が進まないのです。

日本人が経済的に豊かになって海外に出て行くようになったころ、エチケットや常識をわきまえないモラルの欠如が世界の噺笑を買いました。さすがに最近でこそ多少改善されてきたようにも思いますが、ことタバコに対する政治家のモラルの欠如は深刻です。「聖人君子であれ」などと期待しているわけではないのです。いやしくも自ら望んで国民の代表として一挙手一投足が注目されている政治家になった以上、タバコと健康に対する最低限の意識は身につけてほしいと思います。


タバコの害に関する報告の見方
受動喫煙の害について106の論文について調べた博士によると、受動喫煙が健康に無害とした37%の論文のうち、実に74%の論文がタバコ会社関連の人によって書かれたものでした。

タバコ会社関連の人が自分たちに不利な論文を書くはずがありません。しかもこれらの論文の多くは高いレベルの医学雑誌のものではないこともわかりました。

医学雑誌にレベルの遣いのあることを御存知でしょうか?レベルの高い医学雑誌の場合、まずは編集長が送られてきた研究論文に目を通し、却下するか、次の段階に進めるかを決断します。この段階をパスした論文は、その分野に精通した権威者である数名のレフェリーに送られ、査読という手順がふまれます。その際、研究の方法・対象・統計処理の方法などが厳しく審査されます。

1回目で論文が受理されることは稀で、多くの場合は、査読者の厳しい鋭いコメント・質問とともに論文が送り返されます。論文投稿者はそれらの疑問点にすべて答え、論文を書きなおさなければなりません。

一方レベルの低い医学雑誌とは、これらの手順を踏まない雑誌です。当然その内容の信憑性は低くなります。

タバコ会社はその存続に命をかけて自分たちに都合のよい論文を書いて数で勝負しようとする姿勢がみられますが、「多数決が支配する」といわれる民主主義社会といえど、医学は数で勝負する世界ではありません。タバコに関する記事を目にするときは、こうした点に注意を払う必要があります。

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