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タバコに依存するのはすべてニコチンが原因なのでどう抜け出すかが大切
タバコに依存するのは、依存させる力がニコチンにあるからだ。その人の性格も遺伝子も関係ない。
何かに依存しやすい性格の人間など存在しない 社交的な性格の人間は、人と交わるのが好きな人間だ。そう考えると、依存しやすい性格というのは、何かに依存するのが好きということ。 そういう人間は、ニコチンだけでなく、ヘロインやその他の麻薬にも依存したいと思うはずだ。 しかし、ヘビースモーカーを見ると、ほとんどの人がタバコ以外の薬物には手を出していない。 タバコに依存するのは、依存させる力がニコチンにあるからだ。 その人の性格も遺伝子も関係ない。 「遺伝子に欠陥がある」という考え方を否定するのは難しい。 人類は前世紀から、さまざまな薬を開発してたくさんの病気と戦ってきた。 そして、何か解決できない問題があると、すぐに「遺伝子に問題がある」と考える風潮ができあがったのではないか そもそも人間は、生き物の細胞のひとつも作り出すことはできない。 何でもすぐに遺伝子のせいにするのは、「人間の創造主が間違いを犯した」と言うのと同じだ。人間のからだは人間が発明したどんな機械より何十億倍も複雑だということを、私たちは忘れるべきではない。ビルの屋上から時計を落としておいて「故障したのは時計の設計が悪かったからだ」と言うのはおかしいではないか。 ニコチンの罠をきちんと理解して、そこから抜け出せばよい。 そうすれば「依存しやすい性格だったり、性格が複雑だったり、遺伝子に問題があったから吸っていたのではない」ということがわかるはずだ。 「ほかの大勢のスモーカーと同じで、ニコチンのずるい罠にかかり、どうやって抜け出せばいいのかわからなかっただけだ」と納得できるだろう。 これはポジティブシンキングとは違う。正しい知識と理解の問題だ。 しっかり準備をして、敵の弱点を知らないことには戦いに勝つことはできない。 たばこはパニック感を静めるのではない。引き起こすのである。たとえば、ヘロインを切らしたヘロイン中毒者はどんな様子だろうか。ひどいパニックに陥っているはずだ。 その人が血管に注射を打つとどうなるだろう。安堵に満ちた表情になるだろう。 しかし、ヘロインに依存していない人は、そんなパニックを感じることはない。パニックを引き起こすヘロインを打っていないから。 これと同じく、タバコを吸わないノンスモーカーは、タバコを切らしたからとパニックになって夜遅くにコンビニへ走る必要はない。あなたもニコチンの罠にはまるまではそうだったはずだ。 あなたがヘロイン中毒者やアルコール中毒者を見るのと同じ目で、ノンスモーカーはあなたのことを見ている。 意志ではなく一種の薬物依存 タバコは嗜好品に分類されていましたが、最近は嗜好品へ分類することを疑問視する見方が出てきました。それは、タバコを吸い続けると「やめようと思ってもやめられない」状態に陥るためで、1980年にアメリカ精神病学会はタバコを依存物質として位置づけました。 依存とは「どのような形であれ、衝動的で抑えられないような薬物に対する強い欲求と、健康のため、社会のために有害と知りながら、それをやめられない」状態(米国コロンビア大学のアレキサンダー・グラスマン博士)のことをいいます。 1987年にはタバコの成分のニコチンが、依存の中心となっていることが解明されました。ある物質を薬物依存のひとつとするためには、3つの条件が必要です。それは「精神依存」、「耐性」、「退薬症状」の3つで、タバコはこの3つをきちんと備えています。 ニコチン依存は麻薬とよばれるヘロインやコカインなどと同じ依存物質であると位置づけられたのです。 嗜好品の中にはニコチンのほかに、頭の働きや気分を変え、おいしくて、生活を楽しくしてくれる物質が含まれているものがあります。依存をひきおこす可能性のある化学物質であるエチルアルコールを含むアルコール飲料や、カフェインを含むコーヒー、テオブロミンを含むチョコレート、テオフィリンを含むお茶などです。 これらも使い方によってはやめられなくなりますが、実はニコチンの依存性はこれらの物質が比較にならないほど強いのです。 驚かれるかもしれませんが、喫煙者の6~7割は「タバコをやめたい」、あるいは「本数を減らしたい」と考えていることが調査で明らかになっています。日本ではタバコを吸う人を「愛煙家」とよびます。 しかしこの数値を見る限り、好きで吸っているのは喫煙者の3~4割で、多くの喫煙者は「吸いたくないのに吸わずにいられない」というのが本当のところでしょう。愛犬家や愛妻家と同じレベルにおいてほしくないものです。 ちなみに、英語では喫煙者は「smoker」(スモーカー)で、愛煙家に該当する言葉はありません。本数の多いスモーカーはヘビースモーカーとかハードコアスモーカーとよばれています。これまでタバコがやめられないのは意志が弱いからだといわれていましたが、ニコチンに依存性があることがわかってからは、禁煙が困難なのは薬物依存によるためだというふうに理解されるようになりました。 現代社会ではニコチンは麻薬に分類されていない これはおかしな話だ。 世界1位の死因であり、高い依存性があるにもかかわらず、普通の店で合法的に売られている。 タバコの罠にはまる前はみな、「喫煙は不潔な行為。スモーカーは発ガン性の煙を肺に吸いこむために大金をはたかなければならない可哀想な人たちだ」と思っている。 それがいったんタバコの罠にはまると、罠から抜け出せない理由を探し、筋の通らない言い訳も平気で口にする。 あなたはタバコの罠にはまってしまいそこからどうやって抜け出していいのかわからなくてタバコを吸っている。 「スモーカーは自分の意志ではなく、罠にはまったからタバコを吸っているのだ」 こう言われても、納得のいかない人もいるだろう。 では、こう考えてはどうだろう。 ほとんどのスモーカーは、一生に少なくとも一度は禁煙を試みる。 あらゆることを合理的に考えた結果、 「残りの人生をスモーカーとしてではなく、ノンスモーカーとして送りたい」と自分の意志で思うのだ。つまり…… 禁煙に失敗してタバコを吸ってしまったとしたら、それは自分の意志から吸ったのではない。罠から抜け出せなくて吸ったのだ。 「一生禁煙しようと思わない人もいる。そういう人は自分の意志で吸っているのだ」と思うだろうか。もしあなたがそうなら、自分でよくわかっているはずだ。 「自分の意志で吸っているのではなく、ニコチンのない生活が怖くて吸っている」 ということを。 人は自分の意志でタバコを吸うのではない。 ニコチンを失う恐怖心がとても大きいためだ。 だからタバコを吸い続ける言い訳を必死になって探すのだ。スモーカーは、「タバコの奴隷になっている」という事実に目を向けられないでいる。 人は何年もタバコを吸い続けて初めて、自分がタバコに依存していることに気づく。タバコの罠の怖いところだ。 気づいたとしても、「罠から抜け出すのは今日ではなく明日にしよう」と思わせる。 これもまた、タバコの罠の巧妙なところだ。 頭のいいスモーカーは「タバコを吸う自分は馬鹿だ」と考えてしまう。 しかし、西側社会では成人男性の90%がタバコを吸っていた時代があった。 もし、スモーカーが本当の馬鹿なら、西洋諸国の男性の90%が馬鹿だったことになる。アインシュタインもフロイトもチャーチルも、本当にそうだったのか? 「タバコを吸うのは愚かなことだ。なぜこんなことを続けているのか自分でもわからない」 こういう人は、次のような理由を思いつく。 「何かに依存しやすい性格なんだ」 「遺伝子に欠陥があるんだ」 「習慣だからやめるのが難しいんだ」 しかしこれは、タバコをやめられないことへの単なる言い訳であり、タバコを吸う理由ではない。 |
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