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たばこ銘柄で世界を代表する5つを徹底解剖

世界で誰もが知っているたばこ銘柄のセブンスター、マイルドセブン、ハイライト、ケント、キャメルの生い立ちや歴史を徹底的に解説しています。

マイルドセブン
日本人にはご飯のおこげ
かくし味は、香ばしいご飯のおこげ
現在、日本を代表するシガレットといえば「マイルドセブン」でしょう。現在では名称は変更されています。

「マイルドセブン」は、「マイルドセブン・ライト」などのファミリーを含めると、日本の愛煙家の三分の一、すなわち約一千百万人もの人々に愛されているブランドです。
「マイルドセブン」が、これだけ多くの人々に愛される秘密はどこにあるのでしょうか。

この答えを探っていくと、日本人の主食である「米」にたどり着くのです。
「マイルドセブン」には、「香ばしいご飯のおこげ」と同じような香りをはなつ、「ヘイライク・キャラメル・ナッティ・スイート」という長い名をもつ天然香料が加えられています。
日本人にとってご飯のおこげといったら、もうたまらない香りです。この香りを持った「マイルドセブン」が愛されるのは、当然といえば当然かもしれません。

毎日でも飽きない米と「マイルドセブン」
「マイルドセブン」は、ほかにも「米」と共通するところがあります。
「マイルドセブン」の淡い香り立ちと、すっきりとしたデリケートな味は、まるで「米のたんぱくな味」を原点としているかのようです。

主食の「米」と同じように、「マイルドセブン」を毎日吸っても飽きない理由はここにあるのかもしれません。
「マイルドセブン」は国境を越え、とくにアジア地域で売り上げを伸ばしています。これらの国々も「米」を主食とする「米文化圏」であることを考えれば、その人気の理由もうなずけます。
「米」は、世界三大穀物の一つで、アジアやアフリカを中心に世界人口の6割が主食としています。

『マイルドセブン』を、やがて世界の愛煙家の6割が吸うようになるというのもあながち夢ではないといえるでしょう。


セブンスター
一番軽いたばこ、宇宙時代に飛びだす
月面着陸の年に誕生したシガレットです。昭和44年(1969年)の7月、アメリカのアポロ11号が、人類史上初めて月面着陸に成功しました。コロンブスが新大陸の土を踏んでから約五百年後、人類はとうとう月にまでたどり着いたのです。

この月面着陸から5か月ほど前、日本初のチャコールフィルターを「装備」した「セブンスター」が登場していました。
実は、この「セブンスター」には、偶然にも宇宙にちなんだ二つのものが取り入れられています。

宇宙時代に星をちりばめて登場
「セブンスター」に取り入れられた宇宙にちなんだものの一つは、「チャコール」。チャコールとは活性炭のことで、宇宙船内の空気を清浄するために使われていました。
このチャコールをシガレットのフィルターに応用したのが「チャコールフィルター」。

タールやニコチンの吸着性にバツグンの性能を発揮し、「セブンスター」を当時、一番軽いたばこにしあげたのです。

二つ目は「星」。
「セブンスター」のパッケージには星が全面にちりばめられ、宇宙時代の幕開けにふさわしいシガレットであることをおおいにアピールしました。星のデザインは予想以上の反響を呼び、「パッケージの星の数を当てると賞品がもらえる」といううわさまで流れたほどです。
日本専売公社は、そのうわさへの対応に頭をいためたほどだったといいます。

品切れが起こした思わぬ「副作用」
チャコールをフィルターにおさめ、星を身にまとった「セブンスター」は、発売と同時に爆発的に売れ、市場のいたるところで品切れを起こしました。増産につぐ増産につとめても、なおこの状態はしばらくつづいたのです。

この「セブンスター」の品切れは、思わぬ「副作用」を起こしてしまう。
同じチャコールフィルターを使ったアメリカ製の「ラーク」が、「セブンスター」の品切れの穴を埋めるかのように売り上げを伸ばし始めました。

事実、「セブンスター」発売から4年後には、「ケント」にかわって「ラーク」が、輸入シガレット市場のシェア第一位の座を占めることとなるのです。
「セブンスター」が、市場のチャコールフィルター人気に火をつけたのです。

「セブンスター」以降、「みね」「マイルドセブン」「キャビン」「キャスター」などチャコール製品が続々と登場し、いずれも有力ブランドに育っていきました。
現在、日本は世界でも類をみない「チャコール王国」を築いていますが、そのとびらを開いたのはまさしく「セブンスター」だったのです。


ハイライト
新幹線、東京オリンピックもこのけむりから
製造本数世界一の「怪物」ブランド
アメリカでフィルター付きシガレットのブームがおこってから十年。昭和35年(1960年)の日本では、ときの池田首相によって「所得倍増計画」が発表されました。

この年、世界のたばこ史上に残る大ヒットを記録したフィルター付きシガレット「ハイライト」が日本専売公社(現・JT)によって売りだされるのです。
20本入り70円での販売でした。

「ハイライト」は、発売後わずか20日間で約4億本を売り上げます。
その後も倍々をこえる驚異的な伸びをみせ、昭和40年から10年間にわたりトップブランドの地位にいました。しかも、昭和42年には本数でR・J・レイノルズ(アメリカ)の「ウインストン」を抜いて世界のトップブランドとなるのです。そして、この2年後、世界で初めて年間製造本数一千億本の大台を突破するという記録を打ち立て、「怪物」ぶりを発揮しました。

「ホープ」が切り開いたフィルター化の時代
実は、日本初のフィルター付きシガレットは「ハイライト」ではなく、その3年前に発売された「ホープ」(10本入り)だったのです。

「ホープ」は、このころトップブランドだった両切シガレット「しんせい」(10本入り)の2倍の40円という価格にもかかわらず、品切れを招くほどの人気をほこりました。ただ、当時、フィルターの生産態勢が十分に整わず、東京や大阪などの地域限定販売にとどめられていました。

「ホープ」の人気は、日本市場でもフィルター化の時代がきていることを証明したのです。
日本専売公社は、「ホープ」が切り開いた「シガレットの新時代」を確固たるものとするために満を持して「ハイライト」を投入したのでした。


ケント
逆風を追い風に
フィルター付きシガレットの地下潜伏時代
第二次世界大戦後、とりわけ1950年代に入ると、旅客機のエンジンがプロペラからジェットに進化したように、科学技術は飛躍的な進歩をとげます。

そして、このジェット機の時代は、本格的なフィルター付きシガレットの時代となるのです。
実はフィルター付きシガレットの歴史は古い。
すでに1850年代のロシアでは、「吸い口」に綿をつめた口付きのシガレットが誕生していました。ところが、製造に手間がかかり値段も高いことから普及することはなかったのです。

それから約70年後、綿にかわってちりめん紙をフィルターに加工する機械が発明されたのを機に、「ちりめんフィルター」を付けたシガレットが、スイスやイギリス、アメリカで発売されるようになりました。

ところが、フィルター付きシガレットは、「味がマイルドになる」「吸うけむりが熱くない」「たばこの刻みが口に入らない」などの利点が強調されながらも、「特殊なシガレット」として見られ、「両切シガレット全盛時代」のかたすみでほそぼそと製造されるにとどまっていました。1952年の全米シガレット市場に占めるフィルター付きシガレットのシェアはわずか1.4%しかありませんでした。

けむり濾過カアップで健康ブームにのれ!
1950年代に入ると、両切シガレットの全盛時代をおびやかす環境激変の波がおしよせます。
アメリカを中心に「たばこのけむりは健康をそこなう」という逆風が吹き荒れたのです。

ところが、両切シガレットにとっての逆風は、たばこのけむりを濾過するフィルターがついたシガレットにとっては、追い風となりました。さらにはずみをつけるかのように、従来からあるシガレットの巻上機に取りつけるだけで、フィルターを自動的に接合する装置が開発されました。

二つの追い風をうまくとらえたのは、アメリカのP・ロリラードでした。P・ロリラードは、フィルターの漉過性能をアップさせた「ケント」を発売。ちょうど、イギリスにおいてジェット旅客機(コメット機)が世界で初めて就航した1952年のことでした。

「ケント」は発売以来、ジェット機の急上昇のように売り上げを伸ばす大ヒットとなりました。フィルターが付いた分だけ使用するたばこの原料が少なくてすむため、コスト的にも大きな利益をもたらしました。

「ケント」のヒットのおかげで、低迷しつづけていたP・ロリラードは息を吹きかえすことができたほどでした。


キャメル
世界をかけめぐる「ラクダ」
「モンスター・シガレット」謎かけポスターでデビュー
「明日、この町に、アジアとアフリカを合わせた数よりも多い『ラクダ』がお目見えするでしょう」

第一次世界大戦が始まる前年の1913年、オハイオ州クリーブランドの町中のたばこ販売店に、こんなポスターが貼りだされました。
翌日、たばこ店の店頭には、動物の「ラクダ」ならぬ「キャメル」という名のシガレットが山のように積まれました。

十年後、この「キャメル」は、アメリカ・シガレット市場の4割以上ものシェアを占め、「モンスター・シガレット」と呼ばれるようになります。
「キャメル」を発売したのはR・J・レイノルズ。同社はもともと噛みたばこメーカーとして始まり、パイプたばこの製造も手がけていたが、「たばこ王デューク」のアメリカン・タバコに泣く泣く吸収されていたのです。
しかし、「キャメル」発売の2年前、独占排除のためにアメリカン・タバコが分割されたのを機に独立。

成功の鍵は「魔法のブレンド技術」
「キャメル」が「モンスターシガレット」にまで成長した大きな理由は、香りや味が多くの人々の心をとらえたことにあります。
そして、この香りや味は、「シガレット産業に革命を起こした魔法のブレンド(配合)」といわれる画期的な技術から生みだされました。

それまでのシガレットには、中近東などから輸入した香りの高いオリエント葉とアメリカ産の黄色葉をブレンドするのが一般的でした。
しかし「キャメル」は、ほんのわずかなオリエント葉と、香料を加えたパーレー葉と黄色葉を使用するという、これまでにない新しいブレンド方式をとっていました。

パーレー葉は、苦味やクセが強く、シガレットには使われていなかったが、スポンジのように香料を吸いこむ性質をもつことから、噛みたばこの原料として広く使用されていました。
レイノルズは、過去に噛みたばこ用に加工したパーレー葉を使ったパイプたばこをヒットさせていたことから、これをシガレットに応用して「二匹目のドジョウ」をねらい、見事に大成功をおさめたのです。

レイノルズが開発したブレンド技術は、香料を使用することによってさまざまな香りや味をシガレットに持たせるという新しい道を切り開きました。

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