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TTC3社(PMI/BAT/JT)の世界のたばこシェアは40%

「たばこは軍隊とともに進出する」といわれますが、両世界大戦の戦勝国であった米・英のシガレットは世界に広まりました。

巨大化するたばこ企業
米・英の国際たばこ企業(TTC)は輸出のみならず、各国のローカルたばこ資本を買収して現地法人化したり、また専売国とはライセンス契約を結んで自社ブランドの製造・販売を許諾するなど、世界中のあらゆる地域に進出しました。第二次大戦後の世界のたばこ産業史は、この両国のTTCによる各国のたばこ企業の再編の歴史であったといっても過言ではありません。

PMI(米・アルトリァ・グループ)、BAT(英)、それに新たに加わったJT(日本)のTTC3社による世界のシガレット市場のシェアは40%に達していますが、資本の論理とグローバル化の進展によって、世界のシガレット産業はいずれこの3社を中心とするTTCに集約されるのではないかと予想されています。

先年も、イタリア、トルコという旧專売国の運営母体の売却が話題になり、3社の応札が報じられました。今や専売国は少なくなりましたが、各国のローカルたばこ資本の合併は今なお続いています。2005年にはPMIがインドネシア第3位のたばこ会社、ハンジャ・マンダラ・サンプルナ社を52億ドルで、また07年にはJTが英のギャラハー社を2兆2千億円で買収しました。

こうした買収が続くのは、先進諸国では消費量が減少傾向にあるシガレットも、依然人口増が続き、若年人口が多い開発途上国では需要拡大が期待できるからです。今や喫煙者の4分の3は開発途上国の人たちなのです。WHOは、先進国の喫煙者はさらに減る一方、もし2003年レベルのたばこ規制であれば開発途上国で喫煙者は著しく増え、世界の喫煙人口は2000年の12億人から、2030年には16億人に増加するだろうと予測しています。

このように、巨大化しつつ開発途上国への進出をもくろむTTCのビヘイビアーがWHOや反たばこNGOを刺激し、いちだんと対決姿勢を強める要因になっています。2003年、ジュネーブで開催されたWHOの「たばこ規制枠組条約」締結の会議には世界中の反たばこNGOも参加を認められ、規制強化を求める活動を繰り広げました。彼らは規制強化に反対する国にマールボロ・マン賞を贈り、それをまたメディアが報じて、喫煙と健康を論ずるよりは劇場化の時代にふさわしく「アンチ・スモーキング・パフォーマンス」を演ずる場と化したのですが、そうしたアピールも彼らにとっては必要であり、意義あることだったのでしょう。


たばこ産業のスタンス
世界的な反喫煙の潮流が高まるなかで、一方のたばこ産業側は喫煙と健康についてどのような見解を表明しているのでしょうか。

ここでは、アメリカのフィリップ・モリス・インターナショナル(PMI、米アルトリア・グループ。本社はスイスのローザンヌ)、イギリスのブリティッシュ・アメリカン・タバコ(BAT)、そして日本たばこ産業(JT)という、世界的な規模でたばこ事業をおこない、「TTC」と呼ばれている三大シガレットメーカーの見解を見てみます。

各社はインターネットのホームページで、喫煙と健康の問題にかなりのスペースを割いて自社の方針を開陳しており、各社の公式見解と思われるのでそこから引用します。ただし、ここですべての項目・内容を取り上げるわけにはいきませんので、喫煙と健康に関する総論的な見解を概観します。なお、外国2社については日本法人のホームページに掲載されている内容ですが、もちろんそれは本国の見解をベースにしています。

まず、PMIから。
喫煙は喫煙者に肺がん、心臓病、肺気腫、その他重大な疾病を引き起こします。喫煙者が肺がんなどの疾病にかかる割合は、非喫煙者に比べるとはるかに高くなります。「安全な」紙巻たばこというものはありません。喫煙は危険であり、依存性があります。喫煙する人はその危険性を十分に理解しておく必要があります。

続いて、BAT。
喫煙は様々な重い病気(肺がん、呼吸器疾患、心臓病など)の原因になります。喫煙に伴リスクは主として疫学的(人口統計による)研究によって明らかにされており、それによると、生涯喫煙を続ける人は、喫煙しない人よりも、ある種の病気になる確率がはるかに高いとの結果が出ており、喫煙のリスクが指摘されています。研究結果によると喫煙に関連した健康へのリスクを確実に避けるためには、たばこを吸わないようにするしかありません。リスクを確実に減らすには、たばこをやめるのが一番です。

最後に、JTを見てみましょう。
厚生労働省は、(略)たばこは、肺がん、心筋梗塞等の虚血性心疾患、肺気腫等の慢性閉塞性肺疾患など多くの疾病や、低出生体重児、流・早産など妊娠に関連した異常の危険因子であるとしています。私たちも、喫煙は特定の疾病(略)のリスクを高めると認識しています。(略)喫煙の健康への影響については今後更なる研究が必要であるものの、私たちは、喫煙が特定の疾病のリスクファクターであると考えています。喫煙するかしないかは、喫煙の健康への影響・リスクに関する情報に基づいて、個々の成人の方が決めるべきものです。

このように見てみると、米・英・日のシガレットメーカー3社の喫煙と健康に関する見解には、少なからず差があるようです。後述するように、アメリカのPM社(PM・USA)は1990年代のたばこ訴訟における歴史的な和解ののち、1999年、喫煙と健康に関する方針を大きく転換し、基本的に公衆衛生当局の見解に従うというスタンスをとるようになりました。

アルトリア・グループのメンバーとして、PMIはPM・USAの見解に準じているということでしょう。BATのポリシーは、PMIとJTの中間に位置するといえるでしょうか。JTは、従来たばこ企業が一般的に展開してきた見解を基本的に維持しています。この3社はグローバルにビジネスをおこなっており、似たような見解になるはずですが、各社に差違があるのは、母国においてたばこのおかれている状況を反映しているのでしょう。

総じてたばこ企業側の見解はひと昔前とはずいぶん変わり、公的機関を含めた反喫煙団体側との見解の差は縮まったように見えますが、一方、現実のたばこ消費の面では禁煙推進側が期待するほど喫煙者も消費量も減っていないという事実が彼らをいらだたせ、たばこ企業との対決姿勢を強める原因になっています(先進諸国では喫煙者は減っているにもかかわらず、開発途上国では増え続け、結局この10年で喫煙者は世界中で一億人以上増えたという推計があります。

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