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女性の喫煙率が増えているのは本当の姿が現れているだけ

これまで喫煙者におけるタバコの害についての議論をさまざまな角度から検討してきました。それでは、タバコが非喫煙者にまで及ぼすと言われている健康被害、いわゆる「受動喫煙」に関してはどうなのでしょうか?

タバコを吸う人は日本人の約3割弱であると言われています
2008年のJT (日本タバコ産業)による調査によれば、男性が39.5%、女性が12.9%と推計されており、国民全体で約2680万人の喫煙人口があるとされています。これらの調査は、郵便などを用いたサンプル抽出法によるアンケートからの推計です。

統計を見ればわかるように、かつて日本の成人男性のほとんどが喫煙者であったことを考えてみると、喫煙者数は激減していると言っても過言ではないでしょう。タバコのもたらす健康被害に関するマスコミの報道や、医学的な指導が行き届いた結果、もはや、喫煙者は国民全体のたった3割のマイノリティなのであり、あなたも一日も早く禁煙して、タバコなどという野蛮で古くさい習慣から脱却しないと、旧陛代の遺物として時代から取り残されてしまいますよと、新聞やメディアは毎日のように伝えています。

でも、ちょっと待って下さい。
同じ厚生労働省が発表している「性別・年代別喫煙率の推移」という資料がありますが、だいぶ、統計から受ける印象が変わってくるのではないでしょうか?
確かに全体としての喫煙率は減ってきています。けれども、まず男女別に見ると、女性ではこの20年で、20代の若年層を中心にむしろ少しずつ「増えて」きているというのです。

その理由として、「女がタバコを吸うなんて、はしたない」という封建的な風潮が、女性の喫煙率を一貫して低い水準に抑えてきたことが考えられます。喫煙率が際立って低いと言われているアメリカやヨーロッパと比べても、現在でも日本の女性の喫煙率はかなり少ないのです。

また、同じ理由で、実際には喫煙をしてはいても、アンケートには、世間体を考えて「タバコは吸いません」と答えていた人も多いのではないでしょうか。ちょうど「男女雇用機会均等法」が施行された1980年代半ばから、20代~40代の女性たちの喫煙率が上昇してきているのは、そのような抑圧から解放された自由な女性たちが少しずつ増えてきたことと関係があるのかもしれません。また、男性同様、会社でのストレスに悩まされる女性たちが増えてきたからであるのかもしれません。だとすると、女性の喫煙率は欧米先進国のレベルまではまだ上昇していくのではないでしょうか?

いずれにしても、女性に関しては喫煙率が低下しているとはけっして言えないのです。
また、この統計からは男女共に、「健康」を一番気にしているであろう、60歳以上の高齢者層において、目に見えて喫煙率が低下していることがわかります。逆に言えば、現役で働いている成人男性の4割以上は依然として喫煙者であることが見て取れるでしょう。
つまり、社会でばりばり仕事をしている現役の男性のかなりの人数が、いまでも依然として喫煙者なのであり、その比率はけっして低いとは言えないのです。

こうした事実は、日本人の喫煙率は3割弱であるという言い方によって覆い隠されてしまいます。それは喫煙者があたかも少数者であるという印象を植え付けようとするレトリックにはかなりません。昼のオフィス街や夜の町を毎日忙しげに歩き回っている、現代社会を支える働き盛り世代の日本人男性の半数近くは、依然として喫煙者たちだったのです。
そして、彼らはオフィスでも屋外でも喫煙を厳しく制限されており、のんびり一服することのできる環境をどんどん奪われていっています。

それでは、彼らは「健康」を気にしていないのでしょうか? よく言われるタバコの「中毒性」に正気を失っている「中毒者」、あるいは「病人」ということなのでしょうか?
(2006年から禁煙医療に健康保険が適用されるようになり、喫煙は「ニコチン依存症」という「病気」と認定されるようになっています)

みなさんの頭に入れておいていただきたいことは、単純で、しかし忘れられがちな一つの事実です。つまり、世間で言われているのとは違って、現代の日本社会を支える世代の男性市民については、喫煙率はいずれも半数前後であるということ。また、女性の喫煙率も、世界の標準から比べれば極端に低いにもかかわらず、徐々に上昇してきているし、今後も少なくともアメリカや西ヨーロッパの先進国レベルである二〇%台までは増加し続けるだろうということなのです。

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